クーリングタワーとは?冷却塔の汚れ・流量低下を見つけ、省エネ効果を判断する測定項目のイメージ

「冷却水の温度が下がりにくい」「配管やストレーナーが詰まる」「清掃してもすぐ汚れる」。こうした症状が出たとき、冷却塔本体だけを見ても原因は分かりません。冷却水が通る配管、熱交換器、ポンプ、水質管理まで含めて確認する必要があります。

2026年10月には、岡山県の高梁川水系で工業用水の給水制限が強化されました。水を使う設備では、冷却性能に加え、補給水や排水の量も把握しておきたいところです。ただし、節水と省エネは別の指標です。両方を実測して判断します。岡山県「工業用水の15%給水制限を実施します」

クーリングタワー(冷却塔)とは?

クーリングタワーは、工場の設備や建物の空調から熱を受け取った水を冷やし、再び循環させる装置です。温まった水を塔内に送り、外気に触れさせます。水の一部が蒸発するときに熱が奪われ、冷えた水が熱交換器などへ戻ります。冷却塔は水を循環利用しますが、蒸発や排水で失われた分は補給が必要です。米国エネルギー省「Cooling Tower Management」

大まかな流れは「設備で水が温まる → 冷却塔で熱を外へ逃がす → 冷えた水を設備へ戻す」です。ここでいう冷却水は、製品に直接触れる水とは限りません。また、開放式と密閉式では水と外気の接し方が異なります。評価するときは自社設備の方式を確認してください。

【画像挿入:クーリングタワーの仕組み図】

図:開放式クーリングタワーの基本的な流れ。蒸発した分などは補給水で補います。密閉式などでは構造が異なります。

汚れると何が起きる?

冷却塔では、蒸発により水中の成分が濃縮します。外気から入るごみも加わり、スケール(水に含まれる成分の付着)、スライム(生物膜)、沈殿物などが発生することがあります。充填材や熱交換器への付着は冷却性能を下げ、ストレーナーや配管の詰まりは流量低下につながります。ただし、流量が落ちた原因はポンプ、バルブ、フィルターなどにもあり得るため、汚れと決めつけず系統全体を確認します。環境省「冷却水の水質の適正な管理」

汚れを放置しない理由は電力だけではありません。スケールやスライム、滞留水の管理は、レジオネラ属菌を含む衛生面でも重要です。水処理や清掃の方針は、設備メーカー・水処理担当者の管理基準に従ってください。CDC「Controlling Legionella in Cooling Towers」

省エネを判断するために、何を測る?

最初は測れる項目から記録を始めます。改善前と改善後を比べるときは、同じ測定位置・同じ運転条件をそろえることが大切です。

項目

何が分かるか

記録するときの注意

冷却塔に入る水の温度と出る水の温度

水が塔内で何℃下がったか

同じ時間帯・同じ位置で測る

外気の湿球温度

冷却塔が置かれた日の冷えやすさ

気温だけで比較せず、湿度の影響も見る

循環水量・配管圧力・ストレーナー差圧

流量低下や詰まりの手掛かり

ポンプ回転数、バルブ開度も記録する

冷凍機・ポンプ・ファンの電力量

設備全体の電力使用

一機器だけでなく、関連設備の合計を見る

補給水量・ブロー水量・電気伝導率

水の使用量と濃縮管理

水質管理の基準を変えずに比較する

清掃回数・停止時間・汚れの写真

維持管理の負担と状態

撮影場所と清掃基準をそろえる

「湿球温度」は、空気中の湿度を含めて冷却のしやすさを表す温度です。冷却塔の性能を比べる際は、冷却塔から出る水の温度と、そのときの外気の湿球温度の差も参考になります。ASHRAE Handbook「Cooling Towers」

温度差が大きければ、必ず省エネ?

いいえ。例えば塔に入る水が35℃、出る水が30℃なら、塔内での温度差は5℃です。しかし、この数字だけでは省エネ効果を判断できません。工場の稼働量、循環水量、外気の湿球温度、ファンの運転条件が変わると温度差も変わるためです。温度差が小さくても、単にその日の熱負荷が低い場合があります。ASHRAE Handbook「Cooling Towers」

改善効果を見るなら、同程度の生産量または冷却負荷、近い外気条件で、冷却水温度と関連設備の電力量を比較します。熱負荷を計測できる設備では、処理した熱量あたりの電力量も有効です。水使用量については、補給水とブロー水を別に記録します。水質を無視してブローを減らすと、かえってスケールや腐食を招くおそれがあります。米国エネルギー省「Cooling Tower Management」

点検と改善を進める順番

  1. 現状を記録する。 温度、水量、電力量、清掃履歴、汚れの写真を残す。
  2. 原因を絞る。 充填材、ストレーナー、配管、熱交換器、ポンプ、バルブ、水処理の運転状態を確認する。
  3. 対策を試す。 清掃、ろ過、水質管理、運転条件など、対象設備に合った方法を選ぶ。
  4. 同じ条件で再測定する。 冷却性能、電力、水使用量、清掃負担をそれぞれ評価する。

環境省は、冷却水と補給水の水質管理を、冷却塔や冷凍機の性能低下と衛生面の問題を抑えるための運用改善策として紹介しています。対策による削減率は設備条件で変わるため、一般的な試算値を自社の実績値として扱わないことが重要です。環境省「冷却水の水質の適正な管理」

SEA’S7のスケール観察例

冷却塔に付着していたスケールを採取し、SEA’S7の10倍希釈液に浸した観察例があります。提供資料では、浸漬開始時と3週間後の写真を比較し、塊状だった採取物が細かく崩れた様子を示しています。

【画像挿入:SEA’S7によるスケール観察写真】

写真:セブンコーポレーション提供資料より。冷却塔から採取したスケールを、SEA’S7の10倍希釈液に3週間浸した観察例です。実機の循環水で同じ変化や流量改善を確認した結果ではありません。付着物の成分や設備条件によって結果は変わります。

この写真は、付着物への作用を検討する手掛かりです。一方、冷却塔全体の熱効率、電力、水使用量の改善を示すものではありません。実機で導入を検討する際は、スケールの成分と材質への影響を確かめ、前述の測定項目を導入前後で比較します。

削減効果はどう見積もる?

セブンコーポレーションの提供資料には、循環量200m³/h・年間運転6,000時間のクーリングタワーを想定した、年間約800万円のコスト削減モデルが掲載されています。内訳の目安は水道コスト約240万円、電力コスト約540万円、清掃費約44万円です。各内訳を合計すると約824万円となり、「約800万円」は概数です。

これは特定設備で測定した実績値ではなく、資料上の試算例です。資料だけでは単価、導入費用、改善前後の実測値を確認できないため、自社にそのまま当てはめることはできません。「投資回収6〜12か月」という資料上の表示も、個別の設備では検証が必要です。

実際の削減額は、次のように費目ごとに計算します。

費目

比較する数値

年間削減額の考え方

電力

冷凍機・ポンプ・ファンの電力量

同程度の生産量・外気条件での使用量差 × 電力単価

水

補給水量・排水量

水量差 × 上下水道などの単価

清掃

作業時間・停止時間・外注費

年間の清掃・停止コストの差

SEA’S7を検討する場合

セブンコーポレーションのSEA’S7(シーズセブン)は、冷却塔や冷却水系統の汚れなどについて、現場条件を確認しながら提案している水溶液です。具体的な対象や検討の進め方は、SEA’S7の用途紹介「クーリングタワーの総合改善」をご覧ください。

検討時には、汚れの種類、設備材質、現在の薬剤や水処理方式、水質の管理基準を確認します。既存の衛生管理や清掃を省略できると決めつけず、SEA’S7による省エネや節水の効果も、導入前後の測定値で判断します。

冷却塔の汚れ、流量、冷却水の状態を整理したい場合は、設備の方式と現在の運転記録を添えてセブンコーポレーションへご相談ください。


参考資料:環境省「冷却水の水質の適正な管理」、ASHRAE Handbook「Cooling Towers」、米国エネルギー省「Cooling Tower Management」、CDC「Controlling Legionella in Cooling Towers」。記事は2026年10月2日時点の公開情報に基づきます。