
2026年9月21~27日に公表された情報から、工場の実務に関係する4つの動向を紹介します。
1.日立がフィジカルAIなどの製造業向け実証テーマを提示
日立製作所は9月24日、外部企業と実証計画を検討する「Hitachi Startup Challenge FY26」を発表しました。募集テーマには、検査・保全に使うフィジカルAI、工場や物流拠点での自律走行、設計データの連携などが含まれます。
工場でAIを検討する際には、技術そのものから始めるよりも、「検査時間を何分減らすか」「設備停止を何時間防ぐか」など、解決したい課題と評価指標を決めることが重要です。今回の発表も、AIの効果を現場の工程で確かめる動きとして注目できます。
2.冷却・計測・検査技術の進歩が設備改善の選択肢に
三菱電機が9月24日に発行した技報では、水冷ヒートシンクの放熱性能を高める技術、少数の計測点から設備の状態を推定する技術、画像とAIを用いたき裂推定などが紹介されています。
これらは、設備の「状態を知ること」と「性能を改善すること」を組み合わせる例です。工場のチラーや冷却水設備でも、水の見た目だけで判断せず、流量、温度差、電力使用量、フィルター交換頻度などを記録すると、改善の必要性と効果を評価しやすくなります。技報に示された性能値は各技術の試験条件下の結果であり、個別の工場設備で同じ効果が得られることを意味するものではありません。
3.AIによる空調運転の最適化をGX投資の候補に
Schneider Electricは9月21日、建物管理システムにAIを組み合わせた空調最適化の研究結果を公表しました。同社は、研究で設定した条件下では、従来の制御と比べて建物全体のエネルギー使用量を最大22%削減できる可能性を示しています。
この数値を、そのまま工場の削減見込みとして使うことはできません。一方、既存設備の運転方法を見直すことが省エネにつながる、という提案の着眼点になります。工場で検討する場合は、外気温や生産量、稼働時間による影響を分けて、導入前後の電力使用量を比較することが欠かせません。
出典:Schneider Electric・2026年9月21日発表
4.NEDOが脱炭素技術の海外実証を公募
NEDOは9月25日、日本の脱炭素化・エネルギー転換技術を海外で実証する事業の第2回公募を開始しました。公募期間は10月26日までです。海外展開を視野に入れる企業にとって、技術の有効性を現地の条件で確かめ、実用化につなげる機会となります。
実証を検討する際には、現地設備の運用条件に加え、導入前のエネルギー使用量、CO₂排出量、運用費を把握しておくことが重要です。個別の製品や技術が対象になるかは、公募要領で確認する必要があります。
工場のAI・DX・GXは「導入前の測定」から
4つの動向に共通するのは、技術を導入する目的を明確にし、その効果を現場のデータで確かめることです。設備保全なら停止時間や交換頻度、省エネなら電力使用量や運転条件を記録することで、改善策の比較と投資判断がしやすくなります。
株式会社セブンコーポレーションでは、製造業の現場課題を起点に、AI・DX・GXの活用を検討しています。チラーや冷却塔などの循環水設備についても、水質、流量、温度、保守頻度といった情報を整理し、何を改善したいのか、どの指標で評価するのかをお客様とともに考えます。設備改善や実証計画について、お気軽にご相談ください。
